看護師の過酷な労働実態を紐解く。個人で出来ることとは?

仕事

 

本来、看護師の労働は、ある程度の余裕を持たせられる環境が必要だ。

看護師は患者の看護が仕事であり、その看護師が慢性的な疲れを伴っているのであれば、十分な看護が可能とは言い切れない。

それらが医療ミスの遠因となる可能性だってある。

そういう意味でも、看護師自身の身体・精神ともに、いつも健全な状態維持を可能とする体制が本来なければいけない最たる職業の一つだと考える。

だが、この体制を整えるには、現段階では絵空事だと言わざるを得ないだろう。

 

 

看護師の労働実態

看護師業界は、深刻な人手不足が慢性化していると叫ばれ始めてから既にだいぶ経つ。

更に、現在の日本は少子高齢化に歯止めが効かない現実があるので、医者に掛かる人の数は右肩上がりがずっと続くことが予想される。

病院が必要な人が多くなれば、看護師の仕事の絶対量も右肩上がりになる。

この仕事の絶対量の右肩上がりの傾きと、看護師の数の増え方の傾きを比べた時に、仕事の絶対量の方が傾斜がある傾きであれば、看護師の労働環境は、間違いなく今後も悪化の一途を辿ることになる。

下表を見て欲しい。

 

看護師 1人当たりの年間医療費
2008年 約 2,723 万円
2010年 約 2,771 万円
2012年 約 2,796 万円
2014年 約 2,803 万円
2016年 約 2,804 万円
2018年 約 2,797 万円

 

上表は、年間医療費に対し、看護師一人当たりが対応している医療費を割り出した表である。

医療費自体は、ここ10年ほどで 約25% 程度増えたが、看護師の数は 約22%増 に留まっている。

それに伴い、看護師一人当たりで割り出す医療費は 約3% 増加した。

単純に仕事量を医療費で比較することは厳密には出来ないが、一つの指標としては十分有効だろう。

10年で仕事量が 3%増加なら「思ったより大したことはない」と考える人も出て来そうだが、看護師業界は既に人手不足が深刻な業界であり、その上でまだ仕事量が増加し続けていることを考えると、とてもそんな楽観は出来ない。

 

上記のような事実もある中で、当の看護師の方達はどう感じているのか見てみよう。

 

一年前との仕事量の変化への意識

ここからは、医労連が公表している資料を参照していく。

まず、一年前と比べて仕事量は増えたと感じているのか? 減ったと感じているのか? 

 

年齢 一年前と比べて仕事が大幅に
増えたと感じている人の割合
20-24歳 14.7%
25-29歳 18.4%
30-34歳 20.6%
35-39歳 20.9%
40-49歳 25.6%
50-59歳 24.3%

(※医労連-「2017年 看護職員の労働実態調査結果報告」より)

 

勤続年数 一年前と比べて仕事が大幅に
増えたと感じている人の割合
1~3年未満 16.2%
3~5年未満 19.2%
5~10年未満 21.6%
10~15年未満 23.0%
15~20年未満 25.1%
20~25年未満 28.9%
25~30年未満 26.6%
30年以上 24.8%

(※医労連-「2017年 看護職員の労働実態調査結果報告」より)

 

上の 2つの表を見て頂ければ分かるように、一年前と比べて「仕事が大幅に増えた」と感じている看護師は、ベテラン勢に多いことが分かる。

まず、若年層が年々忙しくなるのは、言わば当然だ。

仕事に慣れ、年を追うごとにやれることが増えていく。熟練度の向上に従って仕事が増えるからだ。

しかし、本来ならそこで、ベテラン勢の仕事は横ばいか減っていくのがセオリーである。常に世代交代は起こっている。

しかし、ベテラン勢の仕事が増えているということは、仕事の絶対量が増えているからで、そのシワ寄せがどうしてもベテランに頼わざるを得ない状況に陥っているほど忙しいということを表している。

これは、人手不足が慢性化している職場によく見られる現象だが、この点からもやはり看護師業界の人出不足の深刻さが垣間見える。

 

ちなみに、一年前と比べて仕事量が「変わらない」「増えた」「大幅に増えた」と答えた人の割合は、計79.3% まで跳ね上がる。

 

この結果を受け、医労連は以下のようにコメントしている。

 

経験豊富なベテラン層に重い負担となっていることがうかがえる結果となった。

※医労連-「2017年 看護職員の労働実態調査結果報告」より

 

また、看護業界は、自身の業界が忙しくなった理由として、「患者の高齢化」「重症化」「認知症の増加」 などの声を上げている。

こういう現場の声も、日本が抱える問題【少子高齢化】が生み出す、一つの必然なる結果なのかも知れない。

 

時間外勤務

次に残業はどうなのか? を見ていこう。医労連の公表資料によると下表の通り。

 

看護師一人当たり平均残業時間 約 13時間/月
全業種一人当たり平均残業時間(参考) 約 10時間/月

(※医労連-「2017年 看護職員の労働実態調査結果報告」より)

 

上表を見ると「意外の少ないな。」と思った人も多いのではないだろうか?

確かにこの結果からは残業時間は多いとは感じない。これより多く残業している業種・会社は山ほどある。

 

だが、実は看護業界では、以下の問題点が内在している。

 

  • サービス残業が多い

 

以下は、看護師による残業に対する口コミの一部である。

 

「OLを経て看護師になりました。サービス残業が当然の世界にただただ驚きました。いまだにブラックな世界に驚く毎日です。」

 

「私も他職種からの転職組ですが、看護職の方はサービス残業を何とも思っていなくて、すごいと思いました。この貴い志しで医療現場は支えられてきたのだと思うのですが、むしろ現場で働く人たちの心身の健康を守ることが、患者さんの安全を守ることに繋がるし、雇用者側が従業員の健康を守らなければならない法的義務があるということをわかっているのかな・・・と病院勤務を体験して感じました。」

 

「奉仕の精神でサービス残業あたりまえ。残業手当請求したら守銭奴のように言われました。」

 

「新人です。今まで超過勤務手当てもつけたことありません。」

 

「わたしも転職組です。前職は一流企業だったので15分単位できちんと25パーセント高い残業代がつけられてました。残業代でないのに働きたくないとそのせいでおもってしまう…。だから絶対残業代でる病院もしくは残業ないとこにしかいかない!」

 

※「看護roo!」ホームページより引用

 

上記、引用文にあるように、看護業界のサービス残業は業界全体の体質としてある程度 根付いているようだ。

何しろ、「サービス残業は当然」「残業手当を請求したら守銭奴」「看護職の方はサービス残業を何とも思っていなくて・・」等の口コミからも分かるように、看護師自体がサービス残業を率先して実施しているような異常が常態化してしまっている。

もちろん、きちんと従業員のことを考え、体制を整え、そして残業代もしっかりと支払うところはあるだろう。(それが本当は至極当たり前なのだが・・・)

しかし、これらのことが口コミで愚痴られるということは、それが当たり前で仕事をしている中でも、やはり心のどこかでは異常を認識していることになる。

これら、本音と建て前の矛盾は、精神的な疲れを助長させることになり、看護師自体のモチベーションは上がりきっていないはずだ。モチベーションは上げ切ることは出来ないにも関わらず、仕事の相手は人そのものだから手を抜く訳にはいかない。

この事実が看護師の最も疲れるところではないだろうか?

 

例えば、普通のサラリーマンであれば、とある仕事で「まぁ、これは明日にしようか・・。」と後回しにすることもある。

しかし、看護師にはそういう風に後回しに出来る仕事は少ない。

「ナースコール鳴ってるなぁ・・。お昼食べてからにしよ。」「 あ、点滴変えなきゃ!でも、明日でいいか。」なんてことはあり得ない。

どんなに疲れていようが、モチベーションが低かろうが、常にブレない質で対応しなければならない。

 

看護師はロボットではない。この風潮は早く解決しなければならないだろう。

看護協会はもちろん、国としてもサービス残業の実態を把握する上できちんと対応していかなくては、先の仕事量増加と合わせ、いずれ看護業界は破綻し兼ねないのではないかと筆者は懸念する。

 

セクハラ

セクハラはもちろん一般企業でもあるが、筆者は看護師業界の方がありそうだというイメージを抱いている。実態はどうだろうか?

 

下表は「セクハラがある」と答えた看護師の割合を全業種と比べた表になる。

 

設問 看護師 全業種
セクハラを受けたことがある。 11.6% 28.7%

セクハラを受けた看護師の割合を全業種と比較した表
(※医労連-「2017年 看護職員の労働実態調査結果報告」/労働政策研究・研修機構「妊娠等を理由とする不利益取扱い及びセクシュアルハラスメントに関する実態調査」より)

 

上表を見てどうだろうか?

意外(筆者感想)にも看護師のセクハラは、全業種に比べて 約4割ほどの水準であった。

女性が多い職場の環境のせいだろうか?このセクハラという点での労働環境は良いと言えそうだ。(あくまでも比較的にだが。)

 

セクハラは誰から受けるのか?

世間に比べて低い水準だとしても、セクハラを受けている看護師は ”0” ではない。

看護師が受けるセクハラは誰から受けるのか?

 

患者 71.5 %
医師 23.3 %
同僚 6.6 %
看護部門の上司 6.2 %

看護師のセクハラ元(上位4項目)
(※医労連-「2017年 看護職員の労働実態調査結果報告」より)

 

ここは、予想通りの結果だ(筆者感想)。

患者や医師、やはりここしかないというところだが、患者からのセクハラが 7割を超えるというのは思っていたより多いと感じたのは筆者だけだろうか?

何のために入院している(または病院へ行っている)のかを今一度認識して欲しいものである。

 

パワハラ

続いてパワハラを見ていく。

 

設問 看護師 全業種
パワハラを受けたことがある。 29.0% 32.5%

パワハラを受けた看護師の割合を全業種と比較した表
(※医労連-「2017年 看護職員の労働実態調査結果報告」/労働政策研究・研修機構「職場のパワーハラスメントに関するヒアリング調査結果」より)

 

パワハラに関しても、看護師だからといった特徴もなく、ほぼ世間と同水準の結果だ。

とはいえ、3割程度の看護師がパワハラを受けている。

パワハラというものは、パワハラをする側の人間性の問題によるケースも少なくないが、その企業風土がパワハラを起こし易い環境を誘発しているケースは多い。

パワハラを受けたという看護師は、もしかしたらその病院の風土の問題によるものかも知れない。

 

パワハラは誰から受けるのか?

パワハラはどういう人から受けるのか?

 

看護部門の上司 57.9 %
医師 41.2 %
同僚 18.4 %
患者 17.0 %

看護師のパワハラ元(上位4項目)
(※医労連-「2017年 看護職員の労働実態調査結果報告」より)

 

上表の通り、上司や医師からのパワハラが多い。

仕事上の指示がそのままパワハラめいてしまうことはよくある。指示を出す側は指示を出す相手側のことをよく考えて行動しなければならない。

これは一般企業でもそうだが、特に医療の現場は時に命のやり取りに関わる。そういう環境が、パワハラに繋がり易い状況を作ってしまっているのかも知れない。

少ないとは思うが、一つ意識しないといけないこととして、医師だからと言って、看護師を見下すような態度だけは取ってはいけない。医師と看護師の良好な信頼関係は、患者の回復にプラスのはずだ。

そういう医師は医師の前に人間として終わっている。あなたがもしもそういう医師であったとしたら、明日から即 改善しよう。

 

何れにせよ、慌ただしく動かなければならない毎日の中、また勤務形態も 2勤・3勤とある中、看護師という職業は心身ともに疲れ易い職業と言える。そういう中で発生するハラスメントは他業種以上の精神的な負担になることは想像に難くない。

 

 

個人で出来ること

看護師の労働実態として、最も大きいのは、その仕事量だ。この仕事量は今後ますます増えていくことが予想される。看護師の絶対数が爆発的に増えない限り、一人当たりの仕事量は今後増える一方だろう。

しかし、忙しいなりにも、その対価が満足に支払わられれば、まだ納得の上で仕事をすることが可能だが、看護師の実態ではこの対価も満足に無いだけでなく、看護師自体もその現状が当たり前だとしてしまっている。だが、心の中ではその現状に疑問を感じているという矛盾がある。

 

そういう現状に嫌気が差して、看護師自体を辞めてしまうのも自身を守る上で大切な結論だが、本来は看護師を志してなった職業であろうと思う。

看護師は医療の現場でも患者と最も密接に関係する職種の一つであり、患者から見て医療の中心にいると言っても過言ではない。だからこそ、患者から尊敬・感謝され、子供の憧れる職業の一つなのだ。

その看護師を辞めずに、あなたが置かれている現状を打破するために最も効果的な方法を提案する。

 

現状を打破するためには?

現状に精神的に疲れているとしたら、例えば旅行などでストレスを発散させるのも良いかも知れない。

いつも仕事を頑張っている自分へのご褒美と称し、大きな買い物をするという手もある。

普段は行かないような高級店へ行き、おいしいものを一杯食べるのもきっと効果があるだろう。

これらのことで今の仕事が続けられるのであれば、それが一番望ましいし、筆者もそうであることを望む。しかし、これらのことでストレスが発散出来るのであれば、元々そんなに大きく悩んでいない。人は本当に切羽詰まると、これらのことでは発散出来ず、精神的に病んでしまう。

だが、精神的に病んでしまったら、それはそれで今後の生活に大きな支障を来すことになる。

必要なのは、真剣に考えたときに、その職場で今の仕事が続けられそうか?ということである。

つまり、切羽詰まった場合でも看護師を辞めたくないと結論付けた時は、転職するしかないということである。

 

転職の仕方

転職するということで最も先に頭に浮かぶのは「ハローワーク」であろうと思う。だが、看護師は資格を必要とする専門職である。色々な業種を扱うハローワークでも看護師の仕事は極端に少ないのが現状だ。

しかも、ハローワークには根本的な欠点があり、そもそも「良い転職」をいう意味でハローワークを利用するのは時間の無駄である。

 

ハローワークを利用するデメリットとは?

 

今回のようなケースでは、現在の勤め先より労働条件の良いところを探したい訳だが、そういうより良いところをより効率良く探すには、やはりその道のプロに協力してもらわなければならない。

具体的には、転職サイトや転職エージェントなどの転職支援サービスを利用すべきだが、これらのサービスもどこでも良いという訳ではない。

これらもやはり各社の色というものがあり、サービスの内容には差がある。

筆者も看護師以外の仕事ではあるが、4回ほど転職経験がある。その転職支援サービスの選択の重要性は、看護師だろうが、他業種であろうが変わりはない。

 

看護師転職に有効な転職支援サービス

看護師の転職に限って言えば、転職サイトより転職エージェントに頼むのが最も早く効率的である。

看護師の転職を支援する企業は数多くあるが、筆者が厳選する中で、最も良質な転職エージェントを 2社紹介する。この中から選べば、大きい失敗はしないだろうと思うが、更により良いところをとなると、これらの転職エージェント 2社を並行利用し、話を進めていく中で 1社に厳選していくと良いだろう。

別に途中で利用を止めても求職者側には何の損もない。

 

マイナビ看護師
特徴

業界大手マイナビの看護師専用転職エージェントであり、認知度は業界№1。
全ての都道府県の求人を網羅しているため、勤務希望地域によりこのエージェントは使えない、ということは基本的にない。

マイナビの最大の特徴は、求職者がエージェントに最も求める「対応が良さ」という点を最も重要視しており、実際にエージェントの対応は他の同業他社に比べ一線を画すため、まずは一番最初に利用したい転職エージェントである。

総合オススメ度
5
リンク    マイナビ看護師≪登録無料≫  

 

看護roo!
特徴 マイナビ看護師とほぼ同列のオススメである。
まず、利用満足度が№1である。企業規模及び知名度はマイナビに劣るものの、満足度№1は、それだけ利用価値が高いことを意味する。
もちろん、エージェントの質もマイナビ同様に素晴らしい。
総合オススメ度
5
リンク    看護roo!

 

最後に・・・

看護師の仕事で一番の問題は、世間で言われているように、やはり人手不足にあった。

人手不足が深刻化してくると、看護師の待遇の悪化に現れる事業所が出てくる。

これは、看護師に限ったことでなく、一般企業でも顕著に出る現象だが、ここから逃げるには、職場を変えるのが最も効果的である。

患者のことを思うと二の足を踏むケースもあるかと思うが、是非自分の体を最優先して行動して欲しい。

 

 

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました